【宅地建物取引士】宅建業法「営業保証金」――「誰のための、何のための制度か」を理解すれば怖くない

宅建業法の勉強を進めていると、必ずと言っていいほどつまずくのが「営業保証金」です。

主たる事務所は1,000万円、その他の事務所は500万円――数字自体はシンプルなのに、いざ問題を解くと「あれ、どっちが1,000万円だっけ」と迷ってしまう。しかも供託・還付・取戻しと登場人物が多く、「誰が」「いつまでに」「何をするのか」が頭の中でごちゃごちゃになりやすいテーマでもあります。

この記事では、営業保証金がどんな目的の制度で、実際にどう使われるのかを整理し、試験でよく狙われるひっかけポイントもあわせて確認していきます。

そもそも何のための制度か

営業保証金は、宅建業者が倒産したり不誠実な対応をしたりした場合に、取引で損害を受けた消費者が泣き寝入りしないようにするための供託金です。宅建業者は免許を受けただけでは営業できず、この保証金を供託し、その旨を届け出て初めて事業を開始できます(宅建業法25条)。「開業前に消費者保護の担保を用意させる」という発想が、この制度の出発点になっています。

供託額と供託方法

金額は主たる事務所1,000万円、その他の事務所は1か所につき500万円。事務所を新設するたびに、その分を追加で供託しなければなりません。

供託は金銭だけでなく有価証券でも可能で、国債証券は額面の100%、地方債証券・政府保証債は90%、その他の有価証券は80%として評価されます。「全部100%評価される」と勘違いする受験生が多く、ここは頻出のひっかけポイントです。

事業開始までの順序

「供託」→「届出」→「事業開始」という順番も重要です。供託しただけではまだ営業できず、届け出て初めて開業できます。免許から3か月以内に届出がないと免許権者は催告しなければならず、催告到達後1か月以内にも届出がなければ免許を取り消すことができます(義務ではなく任意、という点も要注意)。

還付と不足額の補充

宅建業者と取引をした人(宅建業者は除く)は、その取引で生じた債権について、供託額の範囲内で還付を受けられます。還付が行われると供託所の残高が法定額を下回り「不足」が生じるため、宅建業者は免許権者から不足額を供託すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に、不足額を追加で供託しなければなりません。起算点が「還付があった日」ではない点が、まさに頻出のひっかけです。

保管替えと取戻し

主たる事務所を移転した場合、金銭のみで供託していれば保管替えを請求できますが、有価証券を含む場合は移転先で新たに供託し直す必要があります。

また、免許の失効・取消しや事務所の一部廃止などで営業保証金が不要になったときは取戻しができますが、原則として6か月以上の期間を定めて公告し、還付請求権者からの申出がなければ取り戻せません。ただし、取戻し事由の発生から10年が経過している場合などは、公告が不要になる例外もあります。

保証協会に加入すれば、供託は不要に

宅建業保証協会に加入すると、営業保証金の供託義務そのものが免除されます。その代わりに、主たる事務所60万円・その他の事務所30万円という、はるかに少額の弁済業務保証金分担金を協会に納付する仕組みに切り替わります。多くの業者が保証協会に加入しているのは、この金額差が理由です。

まとめ

営業保証金は、数字だけを覚えようとすると混乱しやすい分野です。しかし「消費者保護のための担保」という制度趣旨に立ち返り、供託→届出→還付→不足額補充→取戻しという一連の流れをイメージしながら押さえると、ひっかけ問題にも冷静に対応できるようになります。次回は、この制度と対になる「弁済業務保証金(保証協会)」の仕組みを、比較しながら整理していきます。

また、模擬問題はnoteに記載しておきましたので、ぜひご利用ください。

【宅地建物取引士試験勉強】営業保証金 ※模擬問題付(Claude作成)|とく資格・検定コレクター

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA