【実例紹介】吃音者でも会社で生きていくために努力してよかったと思えていること

タイトルが大袈裟だと思われる方がいらっしゃるかと思いますが、学生時代、僕は本当に社会で生きていけるのか不安でした。吃音という足枷を一生背負いながら、口がよく回る人と戦って出世の戦いをしなければならないのか、と考えていました。

しかし現在社会人になって10年弱が経ち、なんとか同期内でも最速に出世できています。正直、運も味方してくれた思いますが、努力したこともあり、決して無駄ではない努力だったと自負しています。もちろん失敗や後悔も多くしていますので、併せて紹介していければと思います。

いま吃音で悩んでいる方、吃音のお子さんをお持ちの親御さんに少しでもエールが送れたらと思います。

目次

失敗・後悔①:吃音なんて理解されないと諦める

吃音というのは一種の言語障害ですが(解明されていないので障害とは言い切れないのですが)、なかなか認知度が低く、初対面の人には驚かれてしまうことがあります。頭ではわかっていても言葉に出てこないのがやるせなく、またそれが理解されないのも辛くなり、『どうせ理解されないなら諦めよう』と努力を怠ってしまうと、なんにも前に進みません。僕も最初の上司がなかなか理解してくれず(理解してくれないと思い込んでいた)苦しみましたが、徐々に認めてもらえるようになり、吃音なんか関係なかったなと思えるようになりました。仕事に吃音は関係ないと割り切って努力することをおすすめします。

失敗・後悔②:打ち合わせや報告の失敗を吃音のせいにして逃げる

①と似ていますが、社会人になると打ち合わせでしゃべったり、上席への報告など、主体的に話すことが増えます。その場で全然言葉が出ず、相手に意味のない時間を過ごさせてしまったことも何度もあります。その申し訳なさから、さらに言葉が出づらくなり、悪循環に陥ってしまいます。その言葉が出なかったという事実だけが記憶に残り、本来打ち合わせや報告の準備不足などの自らの過失を吃音のせいにしてしまったことが何度もあります。私は幸いにも良き先輩方に恵まれ、あの報告ではこの資料があるといい、次の打ち合わせでは事前にこれを見せておくといい、などもっとしゃべること以外の努力を教えてくださいました。やってよかったことでも述べますが、過失を吃音のせいにするとなにも進まないなと痛感した事例でした。

失敗・後悔③:メールばかりで直接話さない・電話しない

吃音だと話すのが嫌になることがあります。そうするとメールばかりになります。しかしメールだと直接話したり電話で話したりするのと比較すると格段に仕事が遅くなります。メールばっかりしていたころは毎週の進捗会が億劫で仕方がありませんでした。メールばかりで仕事が進まず進捗はない、進捗がないことを報告しようとするとそれはそれでどもってしまう…。これではだめだと思い、直接相手に会いに行って話したり、電話で話すことが増えました。メールは…仕事しづらいなぁ…という事例です。最近ではチャットツールが普及しているので、チャットの使用が多くなってきました。特に在宅勤務だとチャットが多くなるイメージがあります。

やってよかったこと①:資料作りをこだわる

ここからはやってよかったこと編です。

資料作りは吃音者の生きる道だと、本当に信じています。パワーポイントとエクセルという簡単なツールがあって本当に良かったと思います笑 Microsoftありがとう…。極論を言えば、資料がとてもしっかりしていると打ち合わせで話すことがなくなります。話しづらそうにしているだけで相手が資料を見て質問をしてくれます。また、直接話に行くときも、電話で話すときも、資料があれば『そこが~』『これが~』だけで話が通じていきます。資料作りはとても大事です。もちろん全部が全部資料を作れ、というわけではないですが、複雑なことを話す場合などは図があった方が話しやすいので、手書きでもなんでもいいので見せるものを作成して話しに行くといいと思います。

やってよかったこと②:直接話すことを怖がらない

先ほどのメールの裏返しです。直接話した方が絶対得です。顔も覚えてもらえます。また、意外と吃音のことを気にしないでいてくださる方が多いです。会社に勤めている方々は同じ人事部に採用されたメンバーです。なので、広い目で見ればみーんな似ているのです。ゆえに吃音のことをすでに知っていたり、知らなくてもそれなりの応対ができるメンバーが多いです。なので積極的に直接話しにいっても問題ないです。どんどん顔を売っていって損ないと思います。

やってよかったこと③:ポジティブ・シンキング

全般に言えますが、吃音者はネガティブシンキングになりがちです。失敗や後悔にフォーカスしてしまい、成功や努力の成果を失念してしまうことも多くあります。なのでポジティブシンキングというか、建設的に考える努力をすると、事態が好転します。私も報告が失敗して再報告になった際、吃音をなんとかするのではなく、資料をより読みやすく、ロジカルな内容にすれば報告しやすいという考え方に変え、実際うまくいきました。無理なものは無理と割り切り、修正できるところにフォーカスする癖をつけるのがいいのかなあと思います。

やってよかったこと④:目指せ物知り博士(調べもの)

私の本職はシステムエンジニアなのですが、プログラミングは割と少なく、システムの設計や案件の推進などを中心に業務をこなしています。システムというのは多くの情報や機能の集合体なので、システムのことがわからなければ設計書を読むか、知っている人に聞くしかありません。私はその「知っている人」になろうと努力したことで、いろんな方々とお話しすることができた上、周りからも知っている人と認知してもらえるようになり、仕事がやりやすくなりました。質問しに来てもらえるので、かなりやりやすいです。どんな分野もスペシャリストになるというのはメリットあると思った事例でした。

やってよかったこと 番外編:清潔感を保つ・話しやすそうな雰囲気を保つ

これは番外編です。仕事に直接的な影響があるとは思いませんが、「マイナスポイントを減らす」というのは自分にとっても相手にとってもいいことだと思います。私がやっている具体的なこととしては以下の通りです。完全に個人的な意見です。

タバコを吸わない

タバコは百害あって一理なしだと信じています。肺が悪くなったら吃音なのにさらに話しづらくなってしまいますし、経済的な意味でもよくないです。一箱400円かけるより、コーヒーやジュース4杯の方が仕事効率上がる気がします。また、女性の方は特にニオイを気にします。私は男性ですが、タバコのニオイが苦手です。職場でのニオイはどうしようもないので、吸わなくていいタバコは…吸わない方がいいと思います。

服はオフィスカジュアルで落ち着いた色にする

パリッとスーツでキメるのもかっこいいのですが、なんかイメージと合わず、会社的にも問題ないのでオフィスカジュアルにしています。ネイビーパンツに白シャツがお決まりパターンです笑 あとはベージュパンツにネイビーシャツ、カーキパンツにグレーシャツ、ネイビーパンツにグレーシャツ、などの感じでぐるぐるローテーションしています。会社でいいなーって思う人を見つけて真似する、でもいいと思います。

笑顔でいること多め

辛そうにしていると話しかけてもらえないかなぁと思い、笑っていることが多いと思います。よく隣に座っている同期社員に話しかけて、笑わせる努力をしています。やはり楽しい方が吃らないので…。

以上、吃音者として努力してきたことです。本当に影響があったのかわかりませんが、自分では納得している手法です。どれか1つでも参考になったら嬉しいです。

また記事でお会いしましょう。地味にかっこいいパパを目指してがんばります。

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